上司が急に僕を奥の部屋に呼び出した。
そして今までは決して言わなかった僕の態度を非難しはじめた。
まるで重箱の隅を突っつくようにネチネチと話す。
この時の上司は完全に上から目線。
1時間ほど何か言われていた。
でも「何」に対して怒っているのかがハッキリわからない。
「俺は一体何を怒られているのだろう?」と疑問が湧いていた。
昨日も一緒にスナックで和気あいあいを飲んだのに、と。
そしたら最後に「俺だって可愛い子一杯知っている」と言った。
「あ!」と閃いた。
実は昨日、僕の行きつけのスナックに上司を連れて行ったのだ。
その時カウンター席にとっても美人な女性が座っていた。
その彼女が僕に挨拶をした。
実は今日からその店に勤める女性で、僕は一度会っており事情も知っていた。
上司はその時「彼をよろしくお願いします。」と丁寧に挨拶をしていた。
だから別に問題が起こるはずがなかった。
でもその女性の容姿が上司の「どストライク」だった。
分かったとたんに「昨日の女性はあの店に勤める子で、昨日はお客として来ていただけです。」
「僕はそれを知っていたので挨拶しただけです。」と言った。
すると「そうなの?」と言ってきたので「じゃあ今日行ってみますか?」誘った。
仕事そっちのけで「スナックの女性の話」をしている会社。
アホらしくなりますね。
そして2日続けてその店に行ったら、当然カウンターの中にいた。
「八重と言います。これからもよろしくお願いします。」と女性が手を差し出すと、「毎日来ちゃうよ!」と手を握っていた。
上司、満面の笑み。
その日から僕は上司に怒られなくなった。
そして上司はというと、今まで行っていた他の店には一切行かずにその店一筋になっていった。
いやあ男をあんなに簡単に虜にする女性を初めて見た。
逆にあんなにコロッと落ちていく男も初めて見た。
結局その子が店を変わってからもずっと通い続けたと聞いた。
他の会社の上司への評価は非常に高かった。
だから僕がその話をしても信じてもらえなかった。
もし僕が店に連れて行かなかったらどうなっていたのか?
相変わらず「あの野郎!自分だけ美人の知り合いがいる!」。
それも「俺のどストライクを!」などと虐められたのではないか?
結局「人は感情の生き物」だからしょうがないかもしれない。
またそのスナックは僕がずっと通っていた所謂「根城」のような店。
でも上司が毎日のように通っていたため「上司の行きつけの店」になっていた。
僕が先輩に「久しぶりにあの店行きませんか?」と聞いたら、「あの店は上司の店だからやめよう。」と言った。
思わず「馬鹿を言わないでください。あの店は僕があなた達に紹介した店で、決して上司の店ではないです。」と言ってしまった。
でも結局は行かなくなった。
彼女目当ての客で溢れ、結局その女性は「ママ」からお店を買い取った。
僕がよく知っていたママは近くに小さな居酒屋を出した。
結局僕はその居酒屋が根城になっていった。
人の感情はなかなか読めない。
どこで「地雷」を踏むか分からない。
仕事で怒られている理由が分からないときは「何か別の理由」があるかもしれません。
ギンポ



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